1960年代、欧州(ヨーロッパ)映画は「太陽」が花盛り。

はじまりは「太陽がいっぱい」から
はい。みんな、お元気? 夏の盛りは過ぎたけど、まだまだ暑いわねえ。去年の夏よりはマシって言うけれど、過ぎ去ったことは覚えてないから今が暑い! でしょ? 真夏とくれば太陽。そこで今回は、タイトルに「太陽」のつく映画を紹介してみようと思うの。
1960年代の、おフランス映画やイタリア映画には、やたらと「太陽」がついたのよ。そのきっかけはやっぱりあの映画ね。ほら、もう頭のなかでメロディが流れているわ。ニーノ・ロータの甘美な旋律が……そう、「太陽がいっぱい」。
アラン・ドロンを一躍トップスターに
え?「太陽がいっぱい」知らないの? 1960年製作の映画だから古いと言えば古いわね。でもこれは、仏伊合作ルネ・クレマン監督の不朽の名作よ。観て損はないわよ。原題はフランス語でPlein soleilっていうんだけれど、意訳すれば「降り注ぐ太陽の光」とか「真夏の太陽」になるらしいから、邦題の「太陽がいっぱい」はなかなかイカシてると思うわ。「イカシてる」なんて死語ね。ほほ。これはなんと言ってもアラン・ドロンが素晴らしい。貧しく野心を持った美青年を演じさせたら、彼の右に出る役者はいないわ。世界中の女性が彼の虜になってしまったわね。その後、日本の洋画配給会社はフランスとかイタリアの映画のタイトルに、やたら「太陽」をつける傾向があったのよ。内容とほとんど関係ないのにね。
そして「太陽はひとりぼっち」
「太陽がいっぱい」の二年後、アラン・ドロン、モニカ・ヴィッティ主演で「太陽はひとりぼっち」という伊仏合作映画が公開されたの。原題はL’Eclisseといって、この語の意味を直訳すると月蝕や日蝕の「蝕(食)」「失墜」などになるんだって。なんとなく哲学っぽいでしょ。監督はイタリアのミケランジェロ・アントニオーニ。もう巨匠のなかの巨匠ってカンジ。退屈な日常や愛の不毛を撮らせたら世界一(?)。この方は、簡単に言えばいいことを小難しく言うから、私なんかイライラしちゃうわ。日本ではね、主題歌は流行ったけれど映画はあまりパッとしなかったわ。でも邦題の「太陽はひとりぼっち」、これはなかないけてるんじゃない?
その後も続々と「太陽」映画が!!
1960年代、主にヨーロッパ映画のタイトルに「太陽」をつけるのは一つの流行だったわね。こんな映画もあったわ。「太陽は傷だらけ」。なんとなく昔の日活映画みたい。この映画は、ロベール・オッセン主演のイカサマ賭博師の話で、これがどうしようもないクズなのよ。なんでアヌーク・エーメみたいなキレイな女性が惚れるのよって思っちゃう。クズと美女は昔から定番ね。映画のなかで確かにボロボロになるんだけど自業自得よ。でもあれが「太陽」なのかしら。そうそう「太陽の下の10万ドル」というのもあったわ。これは、ジャン=ポール・ベルモンドとリノ・ヴァンチュラ主演のアクション映画で、厄介な女が絡むのよ。女に振り回された挙句、手にした10万ドルは……。このパターンもよくあるわね。ほかにも「太陽の下の18歳」「太陽のかけら(スウェーデン映画)」「太陽が知っている」「太陽の中の対決(アメリカ映画)」などなど「太陽」だらけ。ほほ。こんなのどうかしら。「太陽がいっぱい」だから「太陽の下の10万ドル」を求めて「太陽の中の対決」をしたら、「太陽は傷だらけ」で「太陽はひとりぼっち」。お粗末。じゃ、またね。
タイトルに「太陽」のつく主な映画
「太陽がいっぱい」(1960)仏伊合作映画
監督 ルネ・クレマン
出演 アラン・ドロン
モーリス・ロネ
「太陽はひとりぼっち」(1962)伊仏合作映画
監督 ミケランジェロ・アントニオーニ
出演 アラン・ドロン
モニカ・ヴィッティ
「太陽は傷だらけ」(1963)フランス映画
監督 クリスチャン・マルカン
出演 ロベール・オッセン
アヌーク・エーメ
「太陽の下の18歳」(1963)イタリア映画
監督 カミロ・マストロチンクェ
出演 カトリーヌ・スパーク
「太陽の下の10万ドル」(1964)フランス映画
監督 アンリ・ヴェルヌイユ
出演 ジャン=ポール・ベルモンド
リノ・バンチュラ
「太陽のかけら」(1965)スウェーデン映画
監督 グンナール・へグルント
出演 マチアス・ヘンリクソン
マウデ・アデルソン
「太陽の中の対決」(1967)アメリカ映画
監督 マーティン・リット
出演 ポール・ニューマン
リチャード・ブーン
「太陽が知っている」(1969)仏伊合作
監督 ジャック・ドレー
出演 アラン・ドロン
ロミー・シュナイダー
モーリス・ロネ
画像提供:PIXTA
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