2019/04/26

未来を選択する貴重な2年間。

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診療科の充足、研修医の人数、
バランスのいい研修病院で医師としての土台を作る。

一宮市立市民病院

全29科にわたる、診療科の幅広さ。高度な専門医療から
プライマリケア(総合的に診る医療)まで経験できる、症例数の豊富さ。
10名以上20名以下という、同期研修医のほど良い人数。教育の質・量ともに
バランスの取れた環境を整え、一宮市立市民病院は次代を担う医師の育成に全力を注いでいる。

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多様な診療科を経験し 将来、進むべき専門科を選択した。

一宮市立市民病院では例年、14名前後の初期臨床研修医を受け入れ、医師教育に力を注いでいる。研修医の一人、西野貴紀はこの春、2年間の初期研修を終え、引き続き、同院に残り、後期臨床研修を受ける予定だ。この2年間でどんな学びを得ただろうか。「いろいろありますが、臨床において医師にできることはほんの一部であり、看護師やコメディカルの皆さんの協力の上に成り立っていることを痛感しました。そして、そのなかで医師はどんな役割を果たすかというと、患者さん、チームの皆さんから得た情報に基づき、最終的に自分で選択して、責任を負うことだと思います」。選択と責任を果たす医師になるために、西野は自己研鑽を重ねてきた。「やはり経験と知識の両方がそろっていないと、自信を持って検査のオーダーもできません。診療で生じた疑問を解決するために、指導医の先生に積極的に聞いたり、論文や専門書を読みあさりました。たとえば、比較的高齢な患者さんに熱があり、血圧も低い場合には、今では真っ先に敗血症を疑い、点滴などの処置を指示します。まだまだ力不足ですが、そういう判断が瞬時にできるようになったのも、2年間の成果だと思います」。

そして今春から、西野は同院の血液内科へ進む。「実はもともとは病理診断医志望でした。病理の先生は圧倒的な知識量があり、他の診療科の先生から頼られる存在。そんな医師になりたいと考えていました。ただ、血液内科を研修し、病理診断と密接に関わる診療科であることを実感。内科医として臨床現場でもう少し知識や経験を積んだ上で、改めて病理診断の道を考えようと思うようになったんです」。ギリギリまで悩んだ末、進路を一つに絞ったわけだが、この選択ができたのも、「当院で研修を受けたおかげです」と西野は言う。「研修病院選びでは、幅広い疾患に触れたいと考えていたので、診療科がひと通りそろっている病院を探しました。ただ、神経内科や血液内科など何かが欠けているところが多いんですね。逆に、全診療科がそろっているところは、希少な疾患が集まるような大規模な基幹病院になります。希少な疾患よりも、よくある疾患を診たいと考える僕にとって、ここは理想的な環境でした。研修医の数も多過ぎず少な過ぎず、すべてにバランスの取れた病院だと思います」と振り返る。

西野が研修先選びで重視したことの一つは、〈雰囲気の良さ〉だという。「職場の人間関係で悩むことなく、研修に集中したかったので、院内の雰囲気は大切だと考えました。この病院は、いい意味でフレンドリーで、先輩・後輩の風通しも良く、何でも相談できる居心地の良さがあります」と話す。

医師としての人格形成に力を注ぐ教育。

研修医はいつ頃、自分の専門科を決めるのか。新医師臨床研修制度が始まる前は、医学部卒業前に自分の専門を決めるのが当たり前だった。しかし今は、西野のように、初期研修の2年間で進路を最終決定する人が増えている。「やはり実体験を経て、初めて自分の特性に気づくことも多くあります。幸い、当院はほぼすべての診療科を網羅しており、どの科も自由に回ることができます。西野先生も、血液内科で素晴らしい先生方に出会い、自分の新たな可能性を見出したのでしょう」。そう語るのは、初期臨床研修のプログラム責任者の満間照之(皮膚科 診療局長・科部長)である。

同院が研修医教育において、重点を置くのはどんなことだろうか。「基本的な診断能力だけでなく、コミュニケーションやマナーなども含め、医師として信頼される人格を養うことを重視しています。たとえば当院は、年間3万5000名以上の救急患者さんを受け入れています。研修医の皆さんにはそのファーストタッチを通じ、患者さんに接する態度や姿勢を学んでもらっています」(満間)。また、人間力豊かな医師の教育をめざす同院では、研修医たちがのびのびと過ごせる雰囲気づくりにも力を注いでいる。同院には常に、後期研修も含め、卒後4年目までの医師が50名ほど在籍。勉強会やカンファレンスを通して、また日常的にも話しやすいような環境が作られている。その雰囲気の良さが口コミで広がり、研修医の出身校の医学生が病院見学に訪れることも多いという。「指導医からの教育だけでなく、研修医同士がいいライバル、いい先輩・後輩として切磋琢磨することで、前向きな明るい風土が育っています。いい仲間と出会い、医師としての土台を固め、自分の専門分野を決定したい。そんなふうに考える人にとって、当院は申し分ない環境だと思います」。満間は自信を込めてそう締めくくった。

一宮市立市民病院では、内科、外科、小児科に関しては専門に進むためのコースが用意されている。「初期研修後も含めた最初の5年間がすごく大事だと考えています。今後、後期臨床研修のプログラムもさらに充実させ、当院で医師としての礎を築ける体制を強化していきます」と満間は抱負を語る。

COLUMN

  • 一宮市立市民病院では、平成30年秋より新棟が稼動している。ここでは、ハイブリッド手術室(手術室とカテーテル検査室の機能を兼ね備えた空間)が整備されると同時に、手術支援ロボット・ダヴィンチが導入され、専用の手術室も開設された。その一方で、尾張西部医療圏で初めてとなる緩和ケア病棟が開設され、がん患者の闘病生活を支える体制がより一層強化された。
  • 「新棟によって、最先端の診療から緩和ケアまで網羅され、研修医たちは一段と幅広い経験が得られるようになりました」と初期臨床研修のプログラム責任者である満間は話す。「とくに、緩和ケア病棟の開設は、医師の教育において大きな意味を持ちます。患者さんが人生の最期を安らかに自分らしく生きられるよう支え、看取りまで対応することによって、非常に多くのことが学べるからです。緩和ケア病棟での研修を通じ、患者さんを全人的に支える力を育てていきたいと思います」(満間)。

BACK STAGE

研修医を大切に育てる、という情熱と覚悟。

  • 右も左も分からない研修医を育てるには、育てる側の相当の情熱と覚悟が必要である。一宮市立市民病院では、可能な限り個々の希望を尊重し、自由度の高い研修プログラムを用意。さまざまな診療科の指導医が中心となり、一人ひとりの能力を開花させるよう努めている。また、先輩・後輩の風通しの良い風土を育むなど、ストレスの少ない研修生活にも配慮している。「研修医は、国の支援も受け、医師免許を取得した貴重な人材です。決して甘やかすわけではないですが、その人たちをちゃんと一人前に育てるのが、私たちの役割だと考えています」と、満間は話す。
  • そうした教育方針の結実ともいえるだろう。同院では新医師臨床研修制度が始まって以来、研修を中断した人は一人もいないという。研修医全員がここで一定水準以上の総合診療力を身につけ、地域医療に貢献していく。本来、臨床研修病院に求められる使命を、同院は着実に果たしているといえるだろう。

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