2019/04/27

眼を起点に、高齢社会のコアセンターを創造する。

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〈眼〉の健康を守り、高齢者の生活を支えるために
新たな眼科体制が始動した。

社会医療法人 大雄会 大雄会第一病院

大雄会の眼科はこれまで、大雄会クリニックに外来を設け、大雄会第一病院に病棟を備えていた。
その眼科体制を、平成30年9月に一新。眼科外来を大雄会第一病院に移転させ、
外来、検査、入院の機能を1カ所に集約するとともに、診察室を拡張し、
診療機能を一段とパワーアップさせた。その狙いと今後の展望を考察する。

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眼科の外来機能と病棟機能を集約させた狙いとは。

平成30年9月17日、大雄会第一病院の1階フロアでは、翌日の眼科外来のオープンに向けて、あわただしく準備が進められていた。眼科の医師、看護師、事務スタッフなどが顔をそろえ、受付から待ち合い、検査、診察、会計までの一連の流れをシミュレーションし、問題点がないか、入念にチェックを繰り返していた。

長年にわたり大雄会クリニックにあった眼科外来が、同院に移転されたのはどういう狙いからだろうか。「狙いの一つは、診療機能のさらなるレベルアップです」と話すのは、大雄会第一病院の眼科診療部長、原 修哉である。そもそも大雄会の眼科は、尾張西部医療圏における中核病院として発展してきた歴史を持つ。多様な得意分野を持つ専門医をそろえることで、白内障や角膜・結膜疾患など、ありとあらゆる疾患領域をカバー。地域の眼科診療所では対応できないような、合併症のある難しい症例、全身疾患を患っている人のハイリスク症例、外傷に対する緊急手術などを一手に引き受け、最先端の専門医療を提供してきた。「眼科の全分野を網羅し、診療機能を高めてきた結果、この5年間で患者さんが約2倍に増えました。その結果、スペースやマンパワーの問題で、どうしても診察や検査の待ち時間が長くなってしまったんですね。移転により診察室なども拡張されたので、できるだけ待ち時間を少なくするため、現在取り組みを進めているところです。また、外来機能と病棟機能の集約により、入院中の検査などもスムーズに行うことができるので、治療の効率性、安全性の向上に繋がると思います」。

原の言葉に続き、大雄会第一病院の院長であり、眼科医として眼科を牽引してきた実績を持つ伊藤康雄は、次のように付け加える。「もう一つの狙いは、他の診療科との連携強化です。というのも、眼の疾患は、全身疾患から引き起こされることが多いんですね。その場合、眼科単独で治すことはできません。当科ではこれまでも、他科と密に連携し、総合的な治療を進めてきましたが、その体制を維持、強化するよう動き始めています。たとえば、透析中の患者さんに眼科医が早期に関わることで、視力障害が重症化する前に治療に結びつけたり、逆に眼科の受診からその他の病気が見つかれば、総合大雄会病院も含めて適切な診療科に繋げていく方針です」。

眼は、光を受容する感覚器。人は情報源の8割以上を視覚から得ているという。「眼の健康は、生活の豊かさに直結しています。そして、大切なのは視力よりも、見え方の質です。筋力や体力が衰えていく高齢者だからこそ、それらを補うためにも、クリアにものが見えることが必要だと思います」(原)。

眼科を切り口に、生活習慣病の予防・治療に力を注いでいく。

大雄会が眼科に力を注ぐのは、超高齢時代を迎え、眼科がより重要な役割を担うようになってきたという背景がある。「高齢化が進み、人間の寿命そのものは延伸していますが、眼の機能が追いついていない状況です。白内障など高齢者に多く発症する疾患が非常に増えています」と原は話し、さらにこう続けた。「また、高齢者のイキイキとした生活を支える観点から、眼の機能を守る重要性が改めて認識されています。視覚、視機能が低下し、ものがよく見えなくなると、生活の質は一気に下がります。また、外部からの刺激が遮断されるので、認知症の進行も加速してしまいます」。

高齢者の生活と切り離せない眼科医療。では、これから大雄会がめざすのはどんな眼科だろう。伊藤は、大雄会第一病院の将来構想と併せて、ビジョンを語る。「大雄会第一病院は健診センターや透析センター、創傷・血管センターを備え、糖尿病、高血圧、動脈硬化症といった生活習慣病の予防から治療までを幅広く担っています。そこに、眼科医療を集約させることにより、よりいっそう生活習慣病を総合的にサポートできると考えています。眼科医療を通じて高齢者の生活の質を保ちつつ、生活習慣病を集中的に治療できるコアセンターを作っていきたい。それが、大きな目標です」。そのために伊藤は、地域との連携を重視する。「地域のかかりつけの先生、眼科診療所の先生、それに私たち病院の三者が、三角形を描くように連携を組むことが大切です。かかりつけの先生が眼の疾患を疑えば、即座に眼科診療所へ紹介し、難しい症例であれば私たちが対応する。さらに、私たちは他の診療科と協力し、生活習慣病を治療していく。こうした仕組みを、この地域に根づかせていくことで、高齢の方々の生活を継続的に守っていきたいですね」。伊藤は高齢化が進む地域を見つめ、病院の新たな役割を実践していこうとしている。

伊藤が眼科医を志したのは、「高齢化が進めば、眼科医療がますます重要になるだろう」という、父・伊藤 研(大雄会前理事長)のアドバイスがきっかけだった。伊藤は父の期待に応え、ここ20年足らずで同院の眼科を地域の中核病院へと引き上げ、地域の眼科医療を力強くリードしている。

COLUMN

  • 眼科と一口に言っても、疾患領域は実に幅広い。大雄会では、常勤医・非常勤医を合わせて、医師たちが多様な専門分野を持つことで、さまざまな疾患に対応。白内障、緑内障から網膜硝子体疾患、角膜・結膜疾患、眼瞼(まぶた)の疾患、斜視・弱視まで、ほぼすべての疾患領域を網羅し、それぞれにおいて、大学病院に匹敵するような最先端の眼科医療を追求している。
  • 手術実績も豊富である。平成30年の総手術件数は2130件。白内障手術件数は年間1500件を超え、網膜硝子体手術は年間約300件、緑内障手術は年間約100件を施行する。さらに、角膜を専門とする原は、角膜移植を年間12件手がけている。
  • また同院では、常に眼の治療に対する最新の知見・技術を吸収し、眼科医療のレベルアップに余念がない。院内での勉強会はもちろん、年に2回、地域の眼科医を集めて合同勉強会を開催し、地域全体の眼科医療の底上げに力を注いでいる。

BACK STAGE

在宅で療養する人を支える大雄会第一病院の存在価値。

  • 大雄会は主に、急性期医療を提供する総合大雄会病院、一般外来診療を対象とした大雄会クリニック、そして、両者の中間に位置する大雄会第一病院から構成される。大雄会第一病院は、病床数132床。健診センター、透析センター、創傷・血管センターを備え、予防医療、専門医療に力を注いでいる。
  • 同院が本領を発揮する分野の一つに、生活習慣病の予防と治療がある。今回、眼科医療を集約したことにより、生活習慣病に起因する眼の疾患に迅速に対応できる体制を整えた。病院ではなく、自宅で療養する高齢者が増えるなかで、同院のように生活に寄り添う医療を提供する役割は非常に大きい。生活習慣病を早期に発見し、治療に結びつけるとともに、重要な感覚器である眼の機能を守ることで、生活の質を守りながら、高齢者が末永く自宅で暮らせるよう支えていく。眼科を軸に、生活習慣病のコアセンターをめざす、同院の今後に注目していきたい。

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  • 地域医療機関や企業・教育機関等、看護職のサポーターを引き受けていただいた皆様と一緒に、看護職のためのライブ感のたっぷりな有意義な情報をお届けします。

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